その通信、リスク管理は大丈夫ですか?
在宅勤務や、サテライトオフィス、モバイルワーキング……。ICTを活用することで、オフィスから離れた場所で仕事ができるテレワークは、柔軟な働き方を可能にし、仕事の効率向上や家庭との両立に役立っています。一方でオフィスから離れると、近くに上司もセキュリティ責任者もいない環境で仕事をすることになります。自分自身が責任者になったつもりで、最低限のセキュリティ知識を身に付けて、リスクに気を配る必要があるのです。
まず意識したいのが、メールやクラウドサービス、ウェブ閲覧に欠かせない「通信」の安全確保です。一般的な無線LANを利用した通信は、実は傍受しようとすればできる可能性があるもの。その仕事で売上を上げている間に、情報漏えいでトラブルを起こしたと想像すると、背筋が寒くなるのではないでしょうか。安全な通信を行うためには、セキュリティ性の高い通信方式であるVPN(Virtual Private Network)が会社で導入されていれば、定められた手順で利用するようにしましょう。VPNが利用できず、無線LAN通信を使用する場合は、SSLによる暗号化を積極的に利用しましょう。特に機密性の高いファイルや、ID・パスワードなどのログイン情報、暗証番号など重要な情報を入力・送受信する際は必須。URLが「https」で始まっていること、ブラウザに「鍵マーク」が表示されることなどによって確認できます。
もしも無線LANのアイコンに「保護なし」と表示されるなら要注意。接続しているアクセスポイント自体が、SSLの暗号化に対応していないケースです。SSL非対応のアクセスポイントを利用すると、他人に通信を傍受されたり、サイバー犯罪を目的とした悪意あるアクセス先に誘導されたりとリスクが高まるので、重要な通信を極力避けるようにしてください。
インターネット通信だけではありません。公共の場で無線LANに接続中は、ファイルの共有機能をOFFにするのもセキュリティ対策になります。有効になっていると無線LANでつながった第三者があなたのパソコンにアクセスできるため、ファイルが読み取られたり、マルウェアなどの不正なファイルを送り込まれたりするのです。自宅で作業するために無線LANのアクセスポイントを設定するときは、「WPA」「WPA2」といった方式の暗号化を行う設定にするのがおすすめです。その際には接続するためのSSIDも、初期設定のものから推測困難な文字列に変更しておくと良いでしょう。